ヒューベルとウィーセルの実験によって、
大脳皮質における感覚情報処理に関する知見が深まった。1959年に行った実験では、
麻酔したネコの
視覚野に微小電極を刺入し、眼前に置いたスクリーンに明暗のパターンを映し出したときの視覚野
ニューロンのスパイク発火応答を調べた。そして、ある特定の方位の棒状刺激に対してスパイク応答を示すが別の角度に対しては発火しないことを発見した。その後の研究では、刺激提示位置や方位に対して選択的に応じるニューロンどうしが規則的なルールに従って視覚野を形成していることなどを発見し、単純な刺激が複雑な像となって表れる視覚の仕組みが明らかになった。
ヒューベルとウィーセルは2つの業績によりノーベル賞を受賞した。1つ目は1960年代から70年代にかけて行った視覚野に関する研究であり、もう1つは、視覚からの信号がどのように大脳で処理され、形、動き、立体的な深さ、色などを検出しているかを示し、視覚
神経生理学を創始したことについてである。彼らは子ネコの片目を眼帯などで短時間遮蔽することによって、遮蔽されない片目が遮蔽眼の視覚入力の分もカバーして視覚野に情報を送っていることを明らかにした。この研究は、
弱視やある種の
色盲に対する理解を深めることになった。また両眼視に必要な脳の領域を発達させることはできなかった。二人の実験によって、視覚野は幼少の早いうちから不可逆的に進化していくことが明らかとなった。これらの研究は、若年性の
白内障や
斜視の治療に道を開いた。彼らはまた、
大脳皮質の可塑性の研究にも重大な貢献を果たした。