池や沼などの水辺に生える。葉は高さ1〜2mで、水中の泥の中に
地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりである。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る。風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な
果実になる。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに
種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。
花粉は生薬としては「蒲黄」(ほおう)と呼ばれる。外用で傷薬となり、内服すると利尿作用、通経作用があるとされる。雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。
日本神話の
因幡の白兎の説話では、毛をむしり取られた兎に対して
大国主は蒲黄を体につけるように助言している。しかし、唱歌の「大黒さま」の中ではそれが「がまのほわた」となっており、両者は混同されていたことがわかる(もっとも、摘みたての「がまのほ」に触ると大量の黄色い花粉がつく)。
ガマ属(
Typha)の仲間にはガマ(学名
Typha latifolia)、ヒメガマ(学名
T. domingensis)、コガマ(学名
T. orientalis)がある。これらは日本全土の池や沼に分布し、高さ1.5〜2mの
多年草で、花期は6月〜8月、ガマが最も早く、ヒメガマ、コガマと続くとされる。雌花序と雄花序が離れて花茎の軸が見えるのがヒメガマ、雌花序と雄花序が連続しており、雌花序の長さが10〜20cmのものがガマ、6〜10cmのものがコガマと識別できる。