カシュルート wikipedia|無料辞書
カシュルート(
Kashrut,
Kashruth )とは、
ユダヤ教の食事規定のことで、
ヘブライ語で「カーシェールな状態」を示す女性名詞。
カーシェール(
,
Kasher,
アシュケナジム式(
イディッシュ語)
Kosher)は、「相応しい状態」を示す形容詞で、カシュルートで食べてよい食物のこと。
コーシェール、
コシェル、
コーシェル、
カシェルとも。
カーシェールは戒律である
ミツワーに適正であることを示すので、カーシェールな
メズーザーの文など、様々に広く使われる。
◆ 起源
創世記、第7章、第8章にあるように、イスラエルには古来から「清い動物」と「清くない動物」の観念があり(7:2, 7:8)、ノアは「清い動物」を神にささげている(8:20)。「清い動物」という概念は「神に捧げるのにふさわしい動物」という概念と関係して用いられている。また神が「清い動物」「清くない動物」と説明抜きに言い、ノアがそれで理解できていることから、この区別は、少なくともある程度までは、旧約聖書以前から存在している文化的観念であった。高等批判的に言えば、創世記が書かれた時点では既に、想定する読者にとって「清い動物」「清くない動物」の意味は説明不要だった。その意味においては、神によって命じられたというのは、むしろ後づけの説明である
。もちろん、「ノアは無垢な人だったので、神が清い動物と言ったときその意味をおのずから理解したのだ」などと考えることも可能である。
他方、神はノアに対して「清い動物を7つがいずつ、清くない動物を1つがいずつ」生き延びさせるよう命じており、この区別は単に人間が神へのささげ物に対して抱いていただけでなく、神によっても価値的に是認されていると考えられていた。神は「清くない動物」を滅ぼそうとはせず、明示的に生き延びさせようとしているが、「清い動物」をより優遇した。「神に捧げるのにふさわしい」と考えられ、神からもより良いとされていると考えられる動物を食物とすること、神に捧げるのにふさわしくない「不浄な」動物を自分も避け、食べないようにすることは、神によって是認されたと考えられる清らかさに従うことであり、観念的には、神に従うこと、正しく生きて神に近付こうとする努力の一つである。
バビロン捕囚により神殿崩壊と祖国喪失の原因が神に対する自分達の背信行為にあるという確信が強まり、律法に則った儀式、食物規定、日常生活の倫理が励行されたという考え方がある。
しかし、カシュルートは出エジプト以来のことが描かれる
トーラーに基礎がある。
実際、創世記・第9章では神はノアとその子どもたちに「動いている命あるものと植物は、すべて食物にするがよい」と言っており、レビ記の制限よりはるかに緩やかだ。創世記では「清い家畜」「清くない家畜」といった区別があり、神へのささげ物は「清い家畜」「清い鳥」であったが、神の側からは「清い動物だけ食べよ」とは言っていない。
カーシェールの重要な目的の一つは、
摂食行動を聖化し、食べられる食材の数を減らすことである。
◆ 「カーシェール」であるための条件
#4つ足の獣のうち
蹄が全く分かれ、
反芻をするものは食べてもよい。この2つの条件を満たしていない
草食動物、
ラクダ・
イワダヌキ・
ウサギ・
ブタはカーシェールではない。ラクダは生物学的には蹄が分かれ、反芻をするが、外見上蹄が毛に覆われて分かれているように見えないためカーシェールからはずされている。(なお、ブタがカーシェールでない理由は2つの条件を満たしていないためであって、「不浄な動物である」という考え方からではない。)
#
昆虫の中で食べてよいものは、
イナゴ・
バッタなどのごく一部のみで、ほとんどの昆虫は食べることができない。一般的な
解釈ではバッタ類は基本的に食べてよい。しかし、バッタ類のうち特定の4つの種だけを食べてよいとする解釈もある。(詳細は
レビ記の4種類の昆虫)
#:現実的には、
昆虫食の制限より、料理や飲み物に昆虫が混入していないか(例えば野菜料理)がカーシェールを保つ上で大きな問題となる。
#:ハチはカーシェールではないが、純粋なはちみつはカーシェールと解される。
#:カーシェールとされる動物は、カーシェールでない昆虫を餌にするとしてもカーシェール。
#「野外で獣に裂き殺された動物の肉」
#「自然に死んだ動物の肉」
を食べることも禁じられ、あるいは好ましくないとされる。また狩人が殺したものも「カーシェール」ではない。食べてよい動物でも、一定の仕方で食肉処理しないとカーシェールにならない。
レビ記・第17章や創世記・第9章などでは、血を食べることが厳重に禁止されている。食べてよい動物でも、血抜きをしないとカーシェールにならない。
このほかにも、調理法や調理場所などについて、いくつかの制限がある。
◇レビ記の4種類の昆虫
この項ではレビ記で「食べてよい」とされている昆虫について扱う。
概要
原文
の大意は「羽があり4足で動き群れるもの(昆虫)は
不浄だが、足の上に接続した脚があり地面を跳ねるものは食べてよい。つまりアルベ、サールアーム、ハルゴール、ハーガーブは食べてよい」である。前半は跳躍する
バッタ目の昆虫を指していると考えられる。現代の
解釈では昆虫は6本足だが、4本の足と2本の手(または「足」以外の何か)と考えたのだろう。「足の上に接続した脚があり」は「折れ曲がる長い足があり」と理解できるが、Nevo