エピクロスの生涯と学説についての主たる権威は3世紀の
ディオゲネス・ラエルティウスである。ディオゲネスは歴史的根拠のない伝説を容認し、
ストア派が行ったエピクロスの醜聞なるものの告発・攻撃を含んでいた。そのため「快楽の存在」よりも「苦痛がない状態」を賢者の目的としたはずのエピクロス哲学はいかがわしいうわさ話や伝説から選り分けなければならず、俗人には誤読されることになった。エピクロスその人も他の先行した哲学者に寛容ではなく、自己の教説を独裁的に弟子に押しつけたため、真のエピクロス派の影響は限られた。
・A.A.Long & D.N.Sedley (1987). The Hellenistic Philosophers Volume 1, Cambridge University Press. ISBN 0-521-27556-3